2016.07.31 02:00パク・ドファン君へ/平野甲賀 韓国ソウルからメールが入った。「初めまして。私は韓国のPaTIというデザイン大学に通っています。PaTIは2012年にアン・サンスさんを中心に様々なデザイン教育者によって設立されました。その授業で黒テント劇場のポスターを見て、文字と日本のアヴァンギャルドについてさらに勉強したい...
2016.07.31 02:00僕と落語 -2/蒲敏樹 笑点の司会者歌丸さんが引退して、6代目司会者に春風亭昇太さんが就任するニュースを聞いたのは、5月22日の夕刻、馬木の旅館千鳥の前に停めた車の中だった。そのニュースを伝えてくれたのは、千鳥の玄関から慌てて車の後部座席に乗り込んできた桂そうばさん。その隣には桂歌之助師匠が「ほーぅ。...
2016.07.31 02:00ドンドロ浜商店繁盛記2/小坂ひとみ 「キッチン入れて2部屋だったのか…!」 仲介人の植松さんに連れられて甲生地区の浜辺の家にはじめて見学に入ったとき、まず動揺した。6畳の和室がひとつと、6畳のキッチンがひとつ。新居は友人のあいちゃんとシェアすることにしていたので、それぞれの部屋は欲しいところだったのだが、これでは...
2016.07.31 02:00あの橋の向こうへ/山本貴道 太陽の熱を帯び、いまだ温かい防波堤の上に座り、冷えたビールをグラスに注ぐ。目の前にはピンクに染まる夕凪の海が広がり、空は徐々にオレンジから藍色へと変わり始めている。昼と夜の境界線がとけあい、ゆるやかな島の時間がさらにゆっくりと流れていく。男木島の灯台が点滅をはじめ、遠くに瀬戸大...
2016.07.25 11:30鈴木さんの杜豚(もりぶた) /大塚智穂いつだったか「池田地区で豚を飼っている人がいる」と聞き、私は車を走らせて探しに行った。大体この辺りに…というところで郵便配達のおっちゃんがいたので場所を聞くと、「もう少し先にいるよ」と、言われた方へ向かって行くと、人の膝くらいの高さで囲まれた電気柵を見つけた。…ここかしら。でも、...
2016.07.22 11:15甲賀さんの描き文字/小坂逸雄ブックマルテ(高松)の小笠原さんのはからいで、急きょその船にのって企画の展覧会が開催できることになった。内容は装丁家・平野甲賀さんの展覧会。甲賀さんの文字って一見かわいらしく見えるけど、でも本当は甲賀さんの愛ある反骨精神とシニカルさそのもののようだ。なんだか怖くもある。展示開催が...
2016.07.18 13:30贅沢な一皿/大塚智穂夏野菜は色鮮やかで見ているだけで元気になります。5年目になる我が家の一歩農園の野菜は無農薬で育てています。今年の夏はトマト、胡瓜、茄子が沢山の実をつけ、こぼれ種では紫蘇、バジル、ルッコラ、フェンネルなど、雑草に紛れてそこら中に生えています。トマトは完熟するまで枝で育て、もいでその...
2016.07.15 14:25島のサイズ感/小坂逸雄ボクが働いているNPOの事務所が坂手港の目の前の観光案内所内にあることもあって、観光客には毎日出くわしている。港に着いたばかりの人、フェリー到着待ちの人、バス乗車の時間を持て余している人、雨宿りしている人など、その状況は様々だ。いずれにせよ観光を目的に小豆島に来たということには変...
2016.07.11 14:50茗荷(みょうが)/大塚智穂我が家は庭付きの平屋の一軒家。島へ来て最初に取り掛かったのは、家と庭の手入れだった。庭は雑草が生え放題で、足を踏み入れるだけでも大変だった。太くて固い蔓や、おばけのように巨大化したアロエにも苦戦したが、なにより大変だったのは、ひっつき豆だった。そのひっつき豆は、1センチくらいの大...
2016.07.09 05:15スイスより その2/Nemu Kienzle スイスでは4つの言語(ドイツ語、フランス語、イタリア語、ロマンシュ語)が公用語に指定されていて、ドイツ国境に近いスイスの街、チューリヒではドイツ語が公用語として使われています。娘のりりは近所の公立小学校に通う2年生で、授業は標準ドイツ語です。でも担任の先生はスイス人なので、標準...
2016.07.08 11:30雨の小豆島/小坂逸雄移住・定住の促進活動をしているNPOに所属していることもあって、日々の出来事を移住者の目線で考えたり感じたりすることが多い。多いというか、ボク自身が島外の出身だし、そういう感覚があるのは当然と言えば当然なのかもしれない。それが良いか悪いかは別としても、自分が常に第三者的な立場にい...