茗荷(みょうが)/大塚智穂

我が家は庭付きの平屋の一軒家。

島へ来て最初に取り掛かったのは、家と庭の手入れだった。

庭は雑草が生え放題で、足を踏み入れるだけでも大変だった。太くて固い蔓や、おばけのように巨大化したアロエにも苦戦したが、なにより大変だったのは、ひっつき豆だった。

そのひっつき豆は、1センチくらいの大きさで細くて固かった。さらに、先端が3〜4つに分かれていて、枝にも地面も大量に落ちていた。私達夫婦は通称「フォーク」と呼んで、この庭を復活させるには、まずはフォークを何とかしないと始まらないと腹をくくり、服や軍手にビッシリつくフォークにホトホト手を焼きながらも、庭を家庭菜園へと開拓していった。

最初の数ヶ月は手入れで終わり、その後、旦那さんが家庭菜園を取り仕切った。何を何処に植えるか、植える予定の作物の連作が可能かまで調べ倒し、ネットで多種大量の種を買い込んだ。家庭菜園は一歩農園と命名。年間スケジュールまで組まれた一歩農園は家庭菜園初心者の旦那さんの管理下に置かれた。

初年度の成果は野菜によってかなり様々だったが、中でも茗荷(みょうが)はなかなか厳しかった。

初年度3〜5個。

翌年7〜10個程。

少しずつ増えてはいくものの、数は少なかった。

庭をみて思うのは、植えたばかりの年はなかなか上手くいかず、小さな小さな実をつけるくらい。それが、種がこぼれて、3年目くらいにもなると、しっかりと根を張り、ミョウガも人も、ようやく落ち着いて、安心してそこにいることが出来るようになる。

5年目を迎えた我が家の一歩農園。

今年のミョウガは豊作だ。大きくて沢山の実をつけている。

大塚智穂

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