2016.06.25 01:25イノクマさん/平野甲賀猪熊弦一郎のことは僕の本(「きょうかたるきのうのこと」2015年晶文社刊)に「月光荘のスケッチブック」のところでちょっとだけ触れたが、猪熊さんに僕はさほど強い関心を持っていたわけではない。僕らの世代では著名な造形家というよりも、むしろ明るくて気軽な先輩デザイナーだといった程度の認...
2016.06.25 00:40カヤック海旅/山本貴道僕は大学卒業後、都庁職員として東京から1000㎞南、小笠原諸島父島にある小笠原水産センターで魚介類の研究員として働いていた。僕がカヤックに初めて出会ったのはその父島の海だ。見渡す限りの水平線の向こうに浮かぶ真っ白な入道雲、澄みきった海を泳ぐ色とりどりの魚たち、そしてまさに今そこで...
2016.06.24 23:50湖と川/Nemu Kienzleヨーロッパのど真ん中にあるスイスには海がありません。そんなスイスから海に囲まれている小豆島とその島を愛する読者の方々に、海のない暮らしをお伝えします。スイスには海がないかわりに湖と川がたくさん。湖と川のいいところは泳いだ後に塩水のべとべとが残らないこと。波がないから、いつでも泳げ...
2016.06.24 10:18ナバナという道しるべ/三村拓洋2月に入ってしばらくすると、近所のオバちゃん達はめいめいに畑の大根の葉っぱを付け根ごと包丁で切り落とす。畑に残された葉もなき大根たちの整列はなんだか子供のいたずらに見えなくもない。それから何日か後、うちの畑に残った白菜の真ん中から花の蕾(つぼみ)がニョキッと伸びてくる。いわゆるナ...
2016.06.23 11:15ドンドロ浜商店繁盛記 1/小坂ひとみ2014年のはじめ、私は豊島であたらしい住まい探しをしていた。それまでの2年間は豊島美術館で働いていて、ずっと寮生活だった。美術館をやめて、次の仕事は見つかっていたけれど、家がしばらく決まらず友達の家に間借りさせてもらっていた。そのころ私は豊島暮らし3年目。島の中で家探しの相談が...
2016.06.22 09:55僕と落語 -1/蒲敏樹岐阜の田舎の旧家に育った、僕の本棚には漫画がなかった。いや、あるにはあったが学習漫画の『マンガ日本の歴史』と同じく『マンガ世界の歴史』だった。小学3、4年生ともなれば、友達はみんな漫画を読んでいるのを知っている。だが、それを買うことを家族から禁じられていた僕は、唯一の漫画だったこ...
2016.06.22 09:55森國酒造 池田翠さん小豆島の酒蔵である森國酒造。隣接しているカフェは元々佃煮を製造していた蔵をリノベーションしたものです。酒粕を再利用したカフェのメニューを考案調理しているのが池田翠(いけだみどり)さん、80歳。娘さん二人とカフェのスタッフからは “おばあちゃん” と呼ばれています。森國酒造は平成1...