幸せのスイカ/大塚智穂

小豆島のお父さんお母さんと慕っている内野さんが、今年の夏は家庭菜園で小玉のスイカを育てていた。

お父さんは嬉しそうに、「ちぃちゃん見てや!けっこう立派やろ!」と、2メートル四方ほどの小さなスイカ畑を指差す。しげしげしている葉のあいだから、小玉のスイカがいくつか顔をだしていた。小玉とはいうものの、充分な大きさのスイカを端から数えると6~7つほどついていた。

「おお!すごい!立派!スイカだ!」というと、「せやろ~!ちぃちゃんにもひとつあげるわ!」と約束してくれた。それからしばらくして、私は帰省のために1週間ほど島を不在にしていたので、スイカのことは忘れていたけれど、帰って早々「最後のスイカ持っていくわ!」と、わざわざスイカをひとたま残していてくださって、とても嬉しかった。

内野さんからは家庭菜園の野菜やら、お母さんの漬けたお漬物、お父さんの釣ってきた魚をいただいたりと、いただくことが本当に多くて感謝しかない。「今日のは結構イケてたで!」とか、「今日のはあんまりやねん」とか感想とともにいただくことが多いのだけれど、私はどれもこれも「ウマッ!!!」とおいしく感じる。今回のスイカなんて、今年食べたスイカの中でいちばん美味しかった。もともとそんなに果物を自分からバクバク食べる方ではないけれど、連日の蒸し暑さ、このスイカは身体に沁み渡るウマさだった。食べる時は愛犬ナミちゃんがピッタリとくっついていたので、毎回ひとかけあげていたが、彼女もそれはそれはウマそうに、内野さんのスイカをシャクシャクと食べていた。幸せとはこうゆうことをいうんだな。

大塚 智穂

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