栃木から来た2人/大塚智穂
3年前、小豆島で一緒にカフェをしていたあやちゃんが、1年ぶりに島に遊びに来てくれた。
あやちゃんは栃木出身で、「小豆島でカフェをオープンするので一緒にやらないか?」という話から、1年という期間限定で栃木から小豆島へ来たというなんともスゴイ娘だった。私とあやちゃんの2人で切り盛りしていたそのカフェは、たった9ヶ月の営業期間だったが、地元の方にも愛されるお店となり、お年寄りから小さなお子さんまで、幅広い年齢層に親しまれたと思う。あやちゃんは1年9ヶ月の島ライフで友達を作りまくり、新しい夢を持って栃木へ帰っていったのだ
そんなあやちゃんが1年ぶりに来島したのだった。しかも、今回は栃木の友だちのよしこちゃんも一緒だ。今回彼女らの滞在時間が実質2日と限られていたので、観光もしながら当時お世話になっていた人たちに、片っ端から会いに行くことになった。
まずは、カフェをやっていた当時、1番お世話になっていた方の家へ上がり込み、お茶やおかしをご馳走になり、途中ご近所さんも参戦し、しゃべり倒し、帰り際には「あれを持っていけ、これをもっていけ」と素麺やら野菜やら沢山持たせてくれた。一緒にいたご近所さんは漁師さんだったので「これ!もっていき!サーモンはちゃんちゃん焼き、太刀魚は唐揚げがおいしい!」と真空パックになった大きな讃岐サーモンと太刀魚を持たされた。私は「今夜2人に食べさせます!」とありがたく車に積み込み、車のエンジンをかけたところで、最後の最後、思いついたように「ネギ持っていきな!!」と生えているネギをハサミでバッサバッサと刈り取り、広告に包んで持たせてくれた。車内はネギのにおいが充満し、このネギを使い切るレシピを頭に浮べながら、色々な場所と人のもとを訪ねたのだった。
さらに翌日、母ちゃんから大量の豆腐が送られてきた。前に「あやちゃんが来るんだよ」と話していたので豆腐を送ってくれたらしい。我が家は普段からいろいろな物をいただくことが多いのだけれど、みんな、栃木からやって来た2人にいろいろ食べさせたい!という思いで、こんなにもいろいろな食材が一度に集まるのかと思ったら感心してしまった。
讃岐サーモンはムニエルに、太刀魚は唐揚げに、大量のネギは油揚げにタップリ入れてカリカリに焼き上げて小豆島のお醤油をさっとかけた。あやちゃんもよしこちゃんも何を出しても「う~まっ!!!う~まっ!!!」とそれはそれは美味しそうに食べてくれたので作り甲斐もあったが、食材を提供してくれた人たちがモリモリ食べているふたりを見たら「あげた甲斐があった!」と言ってくれただろうな。
大塚 智穂
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