2017.08.15 10:05僕と落語 -9/蒲敏樹 落語会の翌日、大概早めの船に乗って上方へ帰って行く歌之助師匠だが、今回は帰りをお昼過ぎまで遅らせて島観光に。二十四の瞳映画村、岬の分教場、碁石山、仕上げにジェラートを食べてから港までお送りした。快晴で気温が高かった上、珍しい事に二日酔いの歌之助師匠と弥太郎さん。ペッ...
2017.06.17 12:35僕と落語 -8/蒲敏樹突然だが、いま最も食べたいものを挙げるならば、「朴葉寿司」と「鮎」だ。僕の故郷は岐阜県の郡上である。緑の濃い深い山がずっと連なり、幾筋も流れる谷や水量豊富な川に沿って貼り付くように人家が点在する。よく晴れた日に山をザッと風が渡ると、山の表面が艶やかな白色に変わる瞬間がある。風にあ...
2017.04.02 07:05僕と落語 -7/蒲敏樹「落語はやっぱり主催じゃなくて、お客さんで聴きに行くほうがええな。」前回も、そして今回も福田港で港を出て行くフェリーに歌之助師匠と笑福亭呂好さんを見送りながら、カミさんと二人で交わした会話である。ところが、その舌の根もかわかないうちに、しかも車に乗り込み自宅へ向けて走り出した直後...
2017.02.07 12:20僕と落語 -6/蒲敏樹俳句の季語に「初笑」というのがある。「傍らに人無き如く初笑」高浜虚子虚子は傍若無人に笑いまくったのかも知れないが、落語好きとしてはやはり寄席で笑いたいところ。めでたい「初天神」や冬ならではの「上燗屋」なんかも良い。今はもう無くなってしまったが、正月2日に京都の全日空ホテルで初笑い...
2016.12.15 03:00僕と落語 -5/蒲敏樹毎日、夕ご飯を作るカミさんの包丁の音を聞きながら晩酌をする僕は、自他共に認める酒呑みである。よって、数ある落語のネタの中でも酒呑みの出てくるネタは、大概好きである。僕の晩酌の相手をしながら、「だれそれ(噺家さん)の酒を呑む仕草は真に迫っている」とか、「あの噺を聴いてたら、呑みたく...
2016.11.01 03:00僕と落語 -4/蒲敏樹テレビで落語のチャンネルを探し、車では落語のCDを聴き、本屋では落語家さんの書いたものを探しては読みふけってはいたものの、恥ずかしながら20代後半までは生の落語は聴いたことがなかった。岐阜県出身の僕が、ひょんな事から京都住まいだったカミさんとお付き合いを始め、二人とも落語が大好き...
2016.09.01 08:30僕と落語 -3/蒲敏樹 小豆寄席の日程が5月22日で決まった。会場はサンオリーブ和室を押さえ、チラシの制作も進む。チラシのデザインを担当してくれたのは辰巳君。「ヤーミンジャパン」の名で仕事をする友人であり、誕生日は僕と同じ6月23日である。辰巳君は非常に勉強家で、この寄席のチラシ制作を依頼すると落語関...
2016.07.31 02:00僕と落語 -2/蒲敏樹 笑点の司会者歌丸さんが引退して、6代目司会者に春風亭昇太さんが就任するニュースを聞いたのは、5月22日の夕刻、馬木の旅館千鳥の前に停めた車の中だった。そのニュースを伝えてくれたのは、千鳥の玄関から慌てて車の後部座席に乗り込んできた桂そうばさん。その隣には桂歌之助師匠が「ほーぅ。...
2016.06.22 09:55僕と落語 -1/蒲敏樹岐阜の田舎の旧家に育った、僕の本棚には漫画がなかった。いや、あるにはあったが学習漫画の『マンガ日本の歴史』と同じく『マンガ世界の歴史』だった。小学3、4年生ともなれば、友達はみんな漫画を読んでいるのを知っている。だが、それを買うことを家族から禁じられていた僕は、唯一の漫画だったこ...