僕と落語 -6/蒲敏樹

俳句の季語に「初笑」というのがある。

「傍らに人無き如く初笑」高浜虚子

虚子は傍若無人に笑いまくったのかも知れないが、落語好きとしてはやはり寄席で笑いたいところ。めでたい「初天神」や冬ならではの「上燗屋」なんかも良い。

今はもう無くなってしまったが、正月2日に京都の全日空ホテルで初笑い寄席というのがあった。米朝一門の桂都丸さん(今は塩鯛さん)や雀五郎さんが出演していて、「読書の時間」(新作)や「子ほめ」を聴いた記憶がある。

これが以前は我が家の初笑いだったのだが、数年前からこの寄席自体がなくなったのと塩屋開業以来、正月だからといって釜の火を止める訳にもいかず、初笑い立ち消えのまま今に至る。

そういう意味では今年2月26日に催す「第二回小豆寄席」が数年ぶりの我が家の初笑いになる。出演は第一回と同じく桂歌之助師匠と、新たに笑福亭呂好さん。

歌之助師匠に公演依頼を出すときに、「師匠と、もうお一方お願いします。」とお願いするので、もうお一方、が誰になるかがちょっとした楽しみでもある。前回は桂そうばさんだった。

考えてみると上方落語にハマってからおそらく9割9分は米朝一門の噺を聞いてきたので、笑福亭呂好さんは始めて聞く名だ。調べてみると、笑福亭鶴瓶師匠やNHKの法律相談番組でお馴染みの笑福亭仁鶴師匠と兄弟分の呂鶴師匠のお弟子さんということらしい。松竹芸能所属。歌之助師匠はお弟子さんがいないので、小豆寄席出演の際は後輩の誰か、と言うことになるのだろう。36歳というお若い方なので、勢いのある噺が楽しめそうだ。

ちなみに、米朝一門の定紋は結三柏という紋だが、笑福亭一門は五枚笹のようだ。当日、探してみるのも面白い。

演目は前回同様「お楽しみ二席」となっている。歌之助師匠はどうやら当日か、当日近くなってから演目を決めるタイプのようだ。前回トリでは「くっしゃみ講釈」を高座に掛けたが、くっしゃみ講釈の時に必ず必要な膝隠しも持参していたので、いろいろと考えながらご自宅を出られるのだと思う。季節や場の雰囲気などを想像し、何が聞けるのか考えるのも、また面白い。個人的には酒呑み噺が大好きなので「長屋の花見」なんかもいいなあと思うし、まだ見たことがないが先代、二代目歌之助が得意としていてそれを現・歌之助師匠が復活させたという珍ネタ、「善光寺骨寄せ」も非常に興味がある。

さて、今回の落語会は「小豆寄席」としては2回目であるが、初めての試みとして小学校への出前寄席がある。小豆寄席の翌日、27日に星城小学校へお邪魔して全校児童に歌之助師匠と呂好さんの噺を聞いてもらうのだ。

感受性の豊かな小学生に、是非本物の落語を聴いて欲しい。もしかしてその中から将来の噺家が生まれるかもしれない。以前からやってみたかった企画だ。小学生相手に歌之助師匠がどんな噺をするのかも非常に興味がある。ある意味、化学反応的な面白い寄席になるはずだ。

では、最後に「第二回小豆寄席」の詳細を。

~みんなが笑える落語の時間~

第二回小豆寄席

出演 桂歌之助 笑福亭呂好

日時 平成29年2月26日(日) 開場16:30 開演17:00

場所 小豆島オリーブ公園 サン・オリーブ和室

料金 2,000円

絶賛予約受付中!当日入場も出来るので、大好きな歌之助師匠の噺を是非聴いて貰いたい!




蒲 敏樹
1978年岐阜生まれ、2010年より小豆島。
波花堂塩屋&猟師&百姓。

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