合わせ柿/大塚智穂

今年はやたら果物が食べたくて食べたくて、つい最近まではイチジクを散々食べていたのに、実っている柿をみたら柿が食べたくて仕方なくなり、道行く柿の木の色づき具合をチェックしては、産直に柿がならぶ頃合いを伺っていた。

島の中でよく見かける柿の木は、渋柿が多いようなきがする。丸い柿ではなくて、細長い渋柿。そして、今年は何だか渋柿の色づきが早いように思えた。たまに見かける丸い甘柿はまだ青いままで、何度か産直へ足を運ぶも、やっぱりまだ並んでいない。食べられないとなると、更に食べたくなるもの。そんな日が10日ほど続いた頃、小豆島のお父さんお母さんと慕っている内野さんから「渋柿いらん?」と連絡があった。聞くと、ご近所さんに沢山渋柿をもらったので、「合わせ柿」にしないかということだった。

「合わせ柿?」

調べてみると、焼酎やドライアイスを使って渋柿の渋(しぶ)を抜いて甘くした柿のことだった。渋柿=干し柿しか頭になかった私は、「合わせ柿」かぁ…と正直あまり乗気ではなかったが、物は試しだと貰うことにした。なんなら干し柿にしてもいいし…と思ったが、2年前に作った時は、雨が多く、気温が高めでほとんどカビさせてしまったのを思い出した。今年もまだ暑い日があるので、念のため調べてみると、干し柿を作り始めるには気温が15度以下になってからと記載があった。ふむ。。。これは、「合わせ柿」にしろということだな。

よくよく調べてみると、渋柿のヘタの部分に焼酎を漬けて、並べ、密封して数日置いておくだけで出来てしまう「合わせ柿」は渋柿の渋がアルコールで不溶性になるらしく、渋みを感じさせなくなるために甘く感じるということだった。

渋柿を綺麗に拭き、ヘタを短く切り、用意したステンレスの蓋付きの大きなバットに、ヘタに焼酎をつけて柿を並べた。更に、キッチンペーパーに焼酎を吹き付け、柿の上に置いてみた。蓋をし、バットごとビニール袋に入れて密封し、年の為3日目に開けてみる。

1つ取り出して食べてみる。

驚いた。甘い。しかも、驚くほど甘い。これは砂糖が入っているんじゃないの?!というほど甘くてかなり驚いた。しかも青い状態の柿もとても甘かったのだ。ただ、実がすこし柔らかい柿になっていた。私はボリン!!!というくらい硬い柿が好みで、柔らかい柿が苦手だった。10日間、甘くて硬い柿が食べたかった。が、渋抜きをした甘い渋柿の食感は、私の想像していたものとは違っていたのだ。ちょっと色づき始めた渋柿に至っては、ドゥルン!といった食感で、ゼリーか?と思うほど甘くて柔らかいものだった。

丸い甘柿も少し頂いたので食べてみると、まだ渋かった。数日置いても渋みが残り、合わせ柿の方が断然甘かったのだ。食わず嫌いは良くないなぁと思い、たくさん作った「合わせ柿」を食べていた。が、本当に甘いので、イチジクを炊くときにお砂糖代わりに少し入れてみたりもした。こうなってくると、甘い甘い柿を煮詰めて甘味料として使いたくなってくる。とはいえ、そんな風に思う頃には食べきってしまい、丸い甘柿が産直に並ぶんだろうな、と思っていたら、自分の家の前に無人販売で甘柿が売り始めた。明日あたり買って食べてみようと思う。

大塚 智穂

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