みかんみかんみかん/大塚智穂
小豆島で初めて冬を迎えた時、枝がしなるほどたわわに実るみかんの木を島中で見かけることができた。さすが瀬戸内の島。柑橘が豊富で、極早生、はるみ、スイートスプリングなどなど、いろいろな種類のみかんが食べられる。島へ来た最初の年は、みかん収穫のお手伝いに行き「鳥がよく食べているみかんの木は美味しい」と聞き、実際に鳥がよく来ていた木のみかんを食べてみると、甘くて酸味もあって感激のうまさだった。鳥はよく知っているなぁと関心したのを覚えている。お礼にとコンテナいっぱいのみかんが我が家にやってきて、食べても食べても減らず、食べられないなら飲んでしまえ!と半分にカットして搾り器で激ウマの生搾りみかんジュースをさんざん堪能した。こんな調子で島へ来てからというもの、みかんがぐぐっと身近になった。
一般的にスーパーなどで売られているみかんはサイズが統一されていて、きれいなみかんがほとんどだ。実際私も島へ来るまでは、形のそろったきれいなみかんばかりを食べていた。手のかけ具合で作物は状態が変る。みかんは花が咲いたあと小さな実がつき、つきすぎた実を調整する摘果という作業がある。摘果することである程度みかんの大きさもコントロールできる。摘果をしなかったみかんの木は小さな小さなみかんが葡萄のように実る。寒くなってきた頃みかんは色づきはじめ、収穫シーズンを迎える。収穫されたみかんは大きなサイズからチビチビのみかんなどコンテナの中は大小さまざまなみかんで一杯になる。そのみかんたちは農協で決められたサイズ別に分けられる。それにあてはまらなかったみかんは規格外となる。そう、当然ですが、全てのみかんが出荷できるわけではないし、みかんでいっぱいになったコンテナはとても重く、みかんの収穫はとても重労働なのです。
今日はいつもおやつを持っていくブーちゃんたちの放牧場の近くのミカン畑へ行きました。みかん畑の手入れをされているおじいちゃんが、収穫&出荷までするのが大変だそうで杜豚の鈴木さんが観光農園の管理を買って出た。『毎日午前中だけ。コンテナ一杯ちぎって、2000円。要コンテナ&ミカン収穫用のハサミ持参。』売上はまるまるおじいちゃんに渡して資金にしてもらうそうだ。傾斜で育っているので日当たりも水はけもよく、甘くてとても美味しいみかんだった。
御塩の蒲さんの家でもみかんを育てている。こちらで収穫されるみかんはスーパーで見かけるような、粒の揃ったきれいなみかんではありません。でも味はピカイチ。酸味が少し強みですが、味の濃い本当に美味しいみかんで、無農薬で育てているので皮も干して陳皮になるのです。プレゼント用に分けてもらい、お世話になった方に発送しました。
この時期、産直にも山のようにみかんがならぶ。みかんは生産者さんがちがえば味もちがう。なので、産直でみかんを買うときは、別の棚のみかんを何種類も買ってしまう。さらに、たまたま通りかかった道にみかんの無人販を見かけてしまうと、1度は味見してみないと!という気になってしまい吸い寄せられるように買ってしまうのだった。困ったことに、いつからか自宅前にも無人販売のみかんが売られるようになり、挙句、自宅の敷地内にもみかんの木を植えてしまった。そんなこんなで島に住んでからというもの、みかんに困ることはなくなった。
のどが渇いたらみかんを食べる。小腹が空いたらみかんを食べる。ビタミンを欲している時はみかんを食べる。そうだ、あるヘヴィメタルバンドが愛に溢れたみかんの歌を歌っていたのを思い出した。
大塚 智穂
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