大家の爺さんのシイタケづくりを手伝う2018 その1/小坂逸雄

なかなか都合が合わなかったり、そして寒波が来たことで予定を見送っていたシイタケの原木づくりにようやく着手。原木用の木を切り倒したのはたしか去年の12月。2月にそれを切り刻んで、3月に入ったら菌を埋め込む。なんとなくだけどシイタケづくりのサイクルと作業が身についてきた。

木を切り倒すときは山の頂上に向けて切り倒すのがよいとじいさんが言っていた。倒した木を引っ張ったりするときに自重で斜面を滑るから作業がし良いんだという。確かにその通りだった。今回はいくつかやむを得ず山の麓に向けて切り倒した木があったのだけど、道具を使ってジワジワと引き上げながら作業をしなければならず、なかなか難儀だった。

でも今回の作業はいつもと手応えが違っていて、じいさんとの呼吸が絶妙に噛み合いとても順調に進んでいった。じいさんが木を引きずり上げることの担当、ボクが倒木を切り刻むことの担当。たまに引きずり上げている木の枝がどこかに引っかかってじいさんが苦戦しているのを確認すると、すかさずボクがその枝を落とす。お互いがお互いの作業を邪魔しないように動き、相手がする次の作業を先回りして用意しておく。そんな流れがとても美しかった。いつの間にかチームとしての呼吸が築かれていたことにも感動した。

じいさんは時折、足元が悪くて動けないとか、重い物を持つのがしんどいとかブツブツ言っていたけど、これまでの経験と知恵を活かしてそのしんどさを自らフォローしていたのがさすがだった。ボクは自分がうまく立ち回れたと思っていたけど、実はやっぱりじいさんのそんな動きを見てじいさんから教えてもらっていたのだった。御年八十八歳の大先輩と一緒にいい汗がかけてボクはとてもうれしいです。




小坂逸雄
東京出身、小豆島在住。
2020年4月現在、高松にて養蜂の修行中。

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