ザクロ/大塚智穂


いつもお世話になっているお兄さんから「ちょっと相談があるんですが?」とメッセージが入った。


私に相談⁈なんでも自分で出来ちゃうあの人が、わざわざ相談て⁈なんだろか…。いつも色々とささっと解決してくれるお兄さん(以降Yさん)なので、私で出来ることならなんでも!という思いで返信すると、思いがけないメッセージだった。

「親戚のおじさん宅のザクロが大量に実っているから、少しでも構わないからもらってくれ」との事で、正直ズッコケた。

メッセージには「食材としての難易度が非常に高いんですが…」とあり、まあ確かにその通り。私のザクロ感は、苺やバナナの様に毎年食べるものでもなし、わざわざスーパーなどで買ったこともなく、なんかの拍子にたまーに貰う果物で、タネがいっぱいで食べにくく、どこかのお宅の庭に実っている。という果物である。

それが、去年はたまたま「草木染めで皮だけ必要だから、剥いた実を貰って!」と大量の剥き実ザクロをいただき、グレナデンシロップを初めて作ったのだった。ザクロそのものに酸味があるので、砂糖と一緒に炊くだけでシロップができる。種を濾せばトロミがでて、ジャムの様にもなる。よし、シロップにすればよいから、いただこう!なんなら、収穫から参加します!と申し出た。


初めてのザクロ狩り当日。Yさんは手慣れた手つきでサクサクと作業を進める。私は高枝切り鋏に苦戦しつつも、皆でコンテナ3つ分程のザクロを収穫した。私も小さめの箱に、まあまあの量のザクロを入れることができた。

ザクロは口がぱっかり割れているものは甘い。ただ、そうなると虫もいたりする。私は割れていない実を選んだ。その方が実がポロンととりやすく、酸味もあって、砂糖を入れたシロップにするにはもってこいだと思った。

収穫して2日。。

口が割れていないとはいえ、そろそろ取り掛からねば…と、意を決してザクロを1つ手にとる。どうやってほぐすか。。。包丁で切れ目を入れて割ってみる。解してみる。うん、想像通り大変だ。大きめのボールいっぱいのザクロザクロザクロ。もう、やるしかない。

外皮は硬いので、包丁で頭とお尻をカットし、縦に切れ目をいくつかつけてフサの様なイメージでいくつか割っていく。それをひたすら続け、最後にまとめて解しにかかる。どれだけ時間がかかったか忘れたが、結構な時間をつかって全部ほぐすと、24センチの無水鍋いっぱいの剥き実ザクロが用意できた。そこにどさっと粗糖をかけ、蓋をしてしばらくおく。蓋をしたまま火にかけた。しばらくすると蒸気が出てくるので蓋を開けると、水分が上がってきてザクロが炊ける。粗糖を追加しさらに炊き、種をざるで濾した。煮詰めていくとジャムの様にぽってりとしてきた。酸味のあるザクロジャムの完成だ。

濾したタネは水を入れて軽く煮てストレートで飲むジュースにもなった。美味しい副産物もできた。さて、ジャムはどうやって使うかな。ビクトリアンケーキにしても美味しそうだな。

そうだ、まずはYさんにリリースするところから始めよう。
大塚 智穂

ザクロザクロザクロ。下は花梨が覗いてる。
実を拭いて、包丁を入れて割る。ポロンポロンとはずしていく作業の大変なこなと!
真珠のような、宝石のようなザクロ。
お鍋いっぱいのザクロの実。
今回は粗糖で炊きます。
沢山水分が出てくる。
ざるでこすとタネの周りのペクチンが凄い!
濾して煮詰めて煮詰めてシロップやジャムにします。



大塚智穂
2012年5月、夫と共に小豆島生活をスタート。ごはんやおやつを作ること、人に食べてもらうことが好き。夫、ナミちゃん(5歳の愛犬)、ちびすけ(2歳男の子)の3人と1匹暮らし。

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