2018.03.16 06:00チャイナのトイレから(2)/山本佳奈子 前言撤回。前回のコラムを書いてから、考えに考えたのだけれど、私は正直なところ、中国の比較的目に見えて汚いトイレを日本の多くの人たちが「汚い」と率直に言うから、あえて、「みんなが汚い言うんやったら言わんとこう」と、天邪鬼を決め込んだだけであって、たぶん、私こそが、一番中国の汚いト...
2017.11.15 14:00チャイナのトイレから(1)/山本佳奈子 ついに中国にやってきた。沖縄から流れて福建省は福州市。ガジュマルやビロウがそこらに生え、空は青く澄み、おじいやおばあ、部活帰りの中高生、ママ友たち、大学生などが、その辺でのんびり立ち話している。北京や上海のように地下鉄網が発達しておらず、地下鉄は一路線のみ。人もおだやか。道を渡...
2017.09.23 00:00南大東島・体調不良記/山本佳奈子 沖縄を一年間離れることとなった。那覇からほぼ西に一直線、海を渡って約800km。福州市に一年間住む。一年の語学留学を終えるとまた沖縄に戻ってくるのだが、人間というものはいつ死ぬかわからないし、こういうときに湧いてくる「今のうちにやっとかなあかん」という関西人っぽい感情。今のうち...
2017.06.15 13:40私はネイティブ・関西人/山本佳奈子 那覇市に引っ越して、丸2年が経った。沖縄では、一切関西弁をしゃべっていない。もちろん、地元に帰ればコテコテの関西弁を話すことができるし、自分の母語は関西弁である。しかし沖縄では、我ながら流暢な標準語を操ってしゃべっている。たまにタクシーに乗ると、「どこから来たんですか?」と聞か...
2017.04.14 15:00豊田市で考える、我がアイデンティティー/山本佳奈子 前回のエッセイでは沖縄移住後最大のホームシック期間であることを吐露していたが、その後、無事に1週間ほど日本本土へ脱出し、リフレッシュすることに成功した。地元である尼崎や大阪のみならず、愛知県豊田市にも赴く機会があったのだけれど、今回は豊田市での出来事を記すことにする。 音楽に携...
2017.02.11 09:05終電は私を救う/山本佳奈子 残念ながら、最大のホームシック期間である。もう、地元に帰りたくて帰りたくて仕方がない。こういうことを言うと沖縄の人は「ああ、また脱落者か」とか「結局は内地の方が好きなんでしょ」とかネガティブな印象を受けるのかもしれないが、私にとっての故郷とは、関西であり尼崎なのである。沖縄の人...
2016.12.01 00:00宮里千里さんのこと/山本佳奈子 先日『イザイホー』という音源が全国発売された。民俗祭祀採音者の宮里千里(みやざとせんり)さんが、1978年に久高島の祭祀「イザイホー」に数日間張り付いて録音した音源の、ごく一部をパッケージ化したものだ。久高島で12年に一度行なわれていた神女の就任儀式であり、1978年を最後に途...
2016.09.21 12:00カンナムスタイルと米軍基地/山本佳奈子 毎日出勤時に通る道沿いに、那覇軍港がある。軍港というからには、米軍が使う港であり、フェンスで囲まれている。そのフェンスにはたまに、沖縄本島内の各基地で開催されるフリーマーケットやビーチパーティー、コミックマーケットなどのポップな垂れ幕広告が下がっていて、いつも気になっていた。米...
2016.08.20 10:00黒帯観光客、シンの登場/山本佳奈子 1ヶ月も経たない、数週間前のこと。facebookのタイムラインを眺めていたら、とあるfacebook上の友人が、那覇市旭橋の写真を投稿していた。中国人のシンという男の子だ。facebook上の友人、と書いたことには訳があって、私はその人と直接顔を合わせたことがないのだけれど、...
2016.07.01 07:55Y君の苦悩/山本佳奈子沖縄県那覇市に住んで、1年と2ヶ月目。沖縄に来てからというもの、日々忙しい。仕事で那覇に移住し日常生活を送っていると、あのヤシの木の並ぶ白い砂浜や青い海が、すぐそこにあるにも関わらず、遠く、遠く、夢の世界のように思える。朝定時に出勤しようとモノレールに乗車すると、東京の密度と同じ...