皇踏山を歩く

 

 今週末は久しぶりに皇踏山へ山歩きに出かけた。滝宮の登山口から2、30分歩けば、海の見える高台に着く。ここは気軽に登れるので、何度も来ている場所。高いところから眺めると、そういえば面白い形をしている島だった。どこかから聞こえてくる気がする。


「ひょっこりひょうたんじ〜まっ」


 子供の頃、高いビルから大阪の街の景色を見ても、日本列島の地図のようには見えなくて「つまらんなぁ」と思ったことがあったけれど、この島は小さいから、高いところから眺めると半島の形も分かる。本当に地図で見たみたいだ。


 景色もさることながら、山でごはんを食べたり、コーヒーを飲んだりすることも楽しみ。本当になぜか分からないけれど、山で食べると美味しさが3割り増しぐらいになる。


 いつか寒い冬に山頂で友人たちとひとつのカップラーメンを分け合って食べた。化学調味料が入っていようが、体が喜んでいるのが分かる。あー染み渡っていく〜って。20分歩いたぐらいでそんなことを感じるのだから、エベレストを登る探検家たちはどれほどの感動を味わってきたのだろう。


 数日後、あのカップラーメンの美味しさを思い出して、自宅でお湯を注いで食べてみたものの、うーん、それほど美味しくない。あの魔法はいったいなんだったんだろう。


 もう、そろそろ虫も増えてきたし、へびも出てきそう。梅雨にも入るし、次の山歩きは秋かな。



坊野 美絵


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