縁起直しのお赤飯/大塚智穂

産直に行くと新米の棚に新もち米が1キロ単位で並んでいた。

「もち米か…。あ、家に小豆があったな…。お米と合わせておはぎもいいな。あ、栗もあったし、栗入りのお赤飯もいいな。とりあえず買っておこうか。」と、新もち米を持って帰り、いつ、何を作るかも決めていなかったのでそのまま棚にしまっておいた。

小豆島・肥土山(ひとやま)という農村地域に、300年以上も受け継がれてきた農村歌舞伎舞台があります。10月22日(日)は農村型音楽祭「風が吹いてきたよ」が開催予定でした。心地よい秋晴れの中、素晴らしい環境で素敵な時間が流れる予定でしたが、季節外れの台風21号が接近してくるということで、安全面などを考え、残念ながら中止の決定をせざるを得なかったのです。

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「風が吹いてきたよ」の主催になっていた我が家では、時間を追うごとに具体的になっていく台風の進路を確認し、中止の決定をくだすまで、モヤモヤした時間を過ごしていた。すると、たまたま買っておいた「もち米」が目に入り、「そうだ、お赤飯炊こう」と思いつく。改めて作り方を調べてみると、お赤飯の赤は「邪気を払う」そうで、災いを避ける力があると信じられているそうだ。お赤飯を食べることで凶を返して福とする「縁起直し」と書いてあるではないですか。

さっそくお赤飯を炊く準備を開始する。今回は小豆ではなく腹が割れにくいささげを使い、もち米を水に浸し、翌朝、蒸し器で蒸し上げる。剥いておいた栗もあったので一緒にのせる。少し水分が多く感じる蒸しあがりにはなったものの、蒸しあがったお赤飯は何軒かにもおすそ分けし、「縁起直し」と、いつの日か、素晴らしい風が吹く中で「風が吹いてきたよ」が開催できる日を願って、美味しくいただいたのでした。

大塚 智穂

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