イメージで創り上げるカレー/大塚智穂

先週お兄さんにいただいたジビエは真空パックで冷凍されていた。全部で4パック。時期の古いものから調理していこうと思い調べてみると「B♀/28.9.2/セロース」と書かれていた。「これはちょっと時間が経っているなぁ」と言っていたけれど「煮込むので大丈夫です!」とコンテナいっぱいのワイルド八朔(「無農薬というよりほったらかしなんや」といっていた)と一緒に貰ってきたものだ。

このセロースは赤身で脂が全く見当たらない。イノシシは脂が多いのですぐわかる。これは「鹿」のお肉だろうなと思い、『颯爽と森の中を駆け回る鹿』をイメージしたカレーを作ることにした。

小豆島の中でも何度か野良鹿を目撃しているが、彼らはなんというか、シュッとしている。無駄なものがない、男前な感じがカッコイイ。そんな爽やかな鹿をカレーにするのだから、爽やかでスパイシーなカレーがいい。

まず、お肉を一口大にカットし、鉄のフライパンで焼き目をつける。圧力鍋に油を入れて、ホールスパイスを入れる。クミンシード、ブラックペッパー、マスターシード、クローブ、カルダモン、フェヌグリーク。強火でバッチバチにしたところへ、焼き目をつけておいた鹿を入れて、香りをうつし、水を入れて圧力をかける。シュンシュン言い出したら弱火で10分。そのまま置いておく。

大きめのフライパンにオリーブオイル、クミンシード、すりおろしニンニク、ざく切り多めの生姜を火にかけ、温度が上がってきたところへカレーリーフをぶち込みバチバチやったところへ玉ねぎをぶち込み、適当な飴色になるまで炒めたら、パウダースパイスをぶち込みます。レッドチリ、フェヌグリーク、クミン、コリアンダー、ターメリック。爽やかなイメージ…で、コリアンダー多め。玉ねぎと一緒に炒めて粉っぽさを飛ばしたところへ、トマト缶を入れ、水分が無くなるまで炒めます。焦げる寸前。いや、ちょっと焦げるくらいでもよし 。いや、焦げたらいかん。そこへ水を入れ、塩を入れ味見。無農薬の八朔の皮をすりおろし、実も入れたった。

「爽やかな感じにしたい」というだけで探り探り作っていったこの2つを合わせて、お塩で味をととのえ、最後にヨーグルトを足して完成。できたては、かなりフレッシュなスパイスが活きてるカレーですが、一晩おけば全部が馴染んでまた違った印象になるはず。。。という訳で、翌日お兄さんにカレーを持って行き「いただいたジビエでカレーを作ってみました。これ、鹿ですよね?」と聞くと、「あげたジビエは全部イノシシやで」とのこと。

『颯爽と森の中を駆け回る鹿』をイメージしたカレーは、『颯爽と森の中を駆け回る鹿をイメージしたイノシシのカレー』となった。私のカレーはかなり適当。

大塚 智穂

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