2021.06.14 00:17でこぼこデイズ! - 3 - 50センチ四方の - / 小日向知子 私が働く社会福祉法人が、廃校になった小学校を市からお借りすることになって、そろそろ10年近くになる。校舎校庭体育館の管理業務全般を担うものの、実際は2階建て校舎の1階部分を法人事務局、ヘルパーステーション、そして私が所属する障がいを持つ方の日中活動事業所でシェアし、2階はエイ...
2021.03.25 14:13でこぼこデイズ! - 2 - 春は魔物 - / 小日向知子 毎朝5時半に、アップルウォッチの振動で目が覚める。カーテンの向こうがうっすら明るい。スリッパを履き寝室を出て、リビングを突っ切り和室へ。ラジオをつけ、昨日の洗濯物を取り込みながら、保育園の準備。洗濯機から洗濯物を取り出して、ぱっぱと干す。服を着替え、軽く顔を整え、さぁお楽しみ...
2021.01.16 09:31でこぼこデイズ!/ 小日向知子 知的障がい、精神障がいを持つ方と関わる仕事を始めて、20年が経った。そのうち3年間は、離脱している。近年の2年間は、息子たちの出産に伴う産休だが、15年ほど前の1年間は、とても働けるような状態ではなく、ひきこもっていた。いや、当時は「ひきこもり」というよりは、「ニート」という言...
2020.06.01 09:10掌編・夜間航行1 ずっと突き刺さって/小日向知子 右腕に杢がまたがり、左脇腹に拓が突き刺さっている。誰だろう、親子が「川」の字で眠るなんて表現した人は。これは「川」じゃなくて「小」だ。いや、もっと言えば「爪」だ。 ふたりの子どもに挟まれて眠る真紀は、いつもがんじがらめに固定され、寝返りも打てなかった。それどころではない。両側か...