昆活日記第5話 / 大林幸絵


※ 虫が苦手な方は写真にご注意下さい。

すっかり季節は秋だ。

夏を謳歌したカブトムシ達。

わかってはいても名残惜しい息子。

動かなくなったカブトムシに行き場のない思いを注ぐ。

『愛でる→いじる→飛ばしてみる』



兄のスパルタ指導のもと、なぜか妹も飛ばしてみる。



ジャンルは様々だが兄や姉の嗜好に付き合わされるのは昔も今も変わらない

弟や妹の宿命だ。

兄が戦隊好きなら一緒に戦うし、乗り物好きなら電車の名前に詳しくなる。

虫好きの場合なら、持ち方を教わりたわむれる。

そして、そのまま虫になんの抵抗もなく大きくなるだろう。

それでも、年頃になると兄以外に好きな人が出来てデートとかもするだろう。

デート中、ふっと虫が出てきたら、

「きゃー。私、虫ダメなんですっ。」なんて言いながら大好きな彼の側にかけよる。

「大丈夫、恐くないから」と彼が虫を払いそっと寄り添い守ってくれる。

少女漫画にあるようなお決まりの女子が“きゅん”となるシーンだ。

がしかし、虫好きの兄を持ちあわせてしまった彼女の場合、

こんなシーンは確実に望めない。

「あー、この虫は節の所をこう持てば噛まれないし大人しくなるから大丈夫」

と解説付でスマートな虫対応を彼に披露するだろう。

かつての、母がそうだったように。

追記しておくと、母には虫好きの兄はいない。おそらく自然界では日常の突然変異のパターンだ。

さて、母が一度は体験したかった『デート中のきゅんとなるシーン ベスト1』はさておき、今なお生き延びている2匹のカブトムシのオス。

新たな命もたくさん産まれ、すくすくと育っている。

来年の夏、無事羽化した姿に会えますように。

 そして本日、またまた新たなメンバーが加入した。

コオロギのつがいだ。



学校の授業で捕まえたらしく、オスはいい声で鳴く。

が、メスがあまりにもでかすぎる。

虫の世界では、オスよりもメスが大きい事がよくあり、

メスを“きゅん”とさせらないオスは食べられる。厳しい世界だ。

いくら虫好きでも、まだ虫に生まれ変わる覚悟は出来そうに無い。


2018年10月5日


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大林幸絵

香川県、小豆島霊場第8番 常光寺に住む2児の母親です。現在、小学2年生の息子とこども園年長になる娘がいます。日頃は、お寺の雑務をこなしながらお参りに来られたお遍路さんのお相手をしています。

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